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永遠

冷蔵庫の奥に置き忘れてた
赤く熟しきったトマトを
手に力を入れて握ると
呆気なくその形を崩す

結局は食べなかったんだろう
やがて腐らせてしまって
ゴミと言う名のお荷物になってしまうんだ
だけど彼らは同じ仲間を育てる力を
その実(からだ)に秘めている

この世界はずっと生と死の繰り返し
きっとそれはこれからも続いていくんだろう
音で賑わう街も溢れる人の声も
いつかは静寂に変わるけど
1秒でも楽しい時間を長く感じることが出来たら
次の楽しみへ向かっていこうか

街路樹のわきに生えた名もなき花
いつもは目に入らないのに
雨上がりの午後には決まって
愛しく見えてしまうんだ

やがて花も枯れていくだろう
僕にはそれが哀しくて
時が流れていくのが時々怖いんだ
それでも大切なモノを守れる力を
この手に抱いていたい

この世界もいつか終焉の日が来る
だけどそれはずっとずっと先の事だろう
頬をなでる風も優しい光の太陽も
いつかは過ぎ去るものだけど
ほんの僅かな時間でも永遠を知る事が出来たら
それが幸せだと思うんだ

僕らは生きていく意味を探している
だけどどこにもそれは書いていなくて
明日何が起こるか知りたいってだけでも
生きていく理由になる
だからさあ目を開けて

夜空を見上げて歌ってると
やがて朝がやってきて
また喧騒の中へと放り出されるんだ
それでも再び夜空はやってくるから
その足は歩を止めない

この世界に永遠は存在しない
だけどそれを信じて生きてきたんだ
空をかける雲も淡い光の星々も
いつかは消えゆくものだけど
愛する人とともに少しでも永遠を感じられたら
笑って過ぎ行く刻を過ごそうか

永遠を感じられたら
それが幸せだと思うんだ



In August 2006,written by yuu_kazahara