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音無雨

それはとても近くて
今まで気付く事すらなかった
ずっとこのままだと思っていた
でも今ではとても遠くて・・・

窓越しに見る外は
灰色の雲に覆われて
水に包まれた別世界
咲く花もどこか寂しげで・・・

過ぎゆく時も
空を舞う鳥を乗せる風も
過去を振り返らない
そんなふうになれたらいいのに

音も無く降る雨は
色づく花びらを揺らして
私の心の泣きたい部分も
一緒に洗い流してゆくよ

いつもキミは優しくて
いつも腕の中で眠っていた
波に揺られるよう心地よく
羽のように温かくて

ただ愛しくて
でも切なくて胸が苦しいよ
時々思い出す
過ぎ去った遠い日々の事を

音も無く降る雨は
私の髪の毛を濡らして
地面に柔らかい波紋を描き
静かに姿を消してゆくよ

雨のようにその全てを
拭い去っていけたらいいのに
でも忘れる事の出来ない
思い出たちはまだ胸の中に

音も無く降る雨は
色づく花びらを揺らして
私の心の泣きたい部分も
一緒に洗い流してゆくよ



In September 2006,written by yuu_kazahara